ケンカ中のシカがなぜか「無二の親友と抱擁」しているように見える…奇跡のショットを撮影した人に真相を聞いた

感動の光景…ではなかった模様
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ケンカしている2匹のシカを撮影した写真が、あたかも親友と抱き合っているように見えるとの投稿がX(Twitter)で話題だ。

満開の桜をバックに直立して抱き合う(?)シカ

写真は、 普段から奈良県にある奈良公園でシカの様子を撮影しているしかC(@igufoto)さんが投稿したもの。前述の通り”ケンカ中のシカ”を捉えたものだ。

写真には、桜の木を背景に後ろ足で直立して相対する2頭のシカが映っている。言わずもがなシカはもともと4足歩行だが、この写真では前脚を互いの肩にかけあってお互いを支えることで、直立の姿勢を保っているようだ。

ケンカの最中の一瞬をとらえた写真ながら、ピントのブレがなく2頭が静止しているようにも見える。しかCが「ケンカどころかむしろ無二の親友が称え合っているよう」とコメントしているように、桜の咲く節目の時季に、お互いを鼓舞するように肩をたたき合っているようにも見える。

この写真を見たXユーザーからは、「〈東京行っても頑張れよ!電話するから!〉〈 ああ!絶対に夢叶えてくるからな!〉」「〈おー、めっちゃ久しぶりー! うわー、全然かわってへん!〉みたいな?」と2匹の会話を想像してアテレコするコメントが集まっている。

別ショット。こちらは春の到来を喜び合っているようにも見える

素敵な写真がどのように撮影されたものなのか、しかCさんに詳しい話を聞いた。

エイエイエイ!と攻撃し合う3秒間のショット

シカのケンカが"無二の親友"のように撮れていた感想は?

ケンカしてる瞬間はとにかく連写撮影でたくさん撮って、後から一番よく撮れているショットを探しました。

今回の写真は両方の鹿がまっすぐきれいに立っていて、なおかつ前脚がお互いの肩あたりの位置にあるシンメトリックな姿が偶然撮れていて、面白い一瞬が撮れたなと思いました。

この2匹はどれくらいの時間、ケンカをしていたのでしょうか?

約3秒ほどです。 立ち上がって、前脚でエイエイエイ! とお互いが攻撃してすぐ地面に着地する感じです。

写真に記録されているタイムスタンプで厳密に言いますと、4秒間に21枚連写したうちの1枚が今回の写真です。

シカを撮り続けている理由を教えてください。

比較的市街地に近い「公園」と呼ばれるような場所で、普通にシカがそこかしこにいるのが、よくよく考えると奇妙で面白くて最高の被写体だなと思って撮っています。

撮れば撮るほどシカのちょっとした生態などを知って、撮ることがどんどん面白くなっていきました。

奈良公園周辺は、春日大社・興福寺・東大寺などの歴史ある神社やお寺がひしめき合っていますが、人々が1000年単位で積み上げてきた文化遺産を、なんとも思わず好きに横断してそこら辺にフンをしているシカという存在が、文化遺産との絶妙なコントラストを作り上げていて、とても魅力的に感じます。

シカを撮り続けてきたしかCさん自身が「完璧に撮れた」と気に入っている写真は、2017年秋に撮影したショット。

しかCさんお気に入りショット。落ち葉散る中たたずむシカ

こちらのショットでは今回投稿された写真とガラッと印象が変わり、後光指す神秘的な姿を見せている。

歴史ある場所で暮らし日本の古き良き風景との不思議なコントラストを生み出すシカたち。これからも奈良公園で悠々自由に暮らし、訪れた人にいろいろな姿を見せることだろう。

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書いた人
中野ようす

野生のフリーライター。本とお笑いを摂取し日陰で眠り、たまには濡れた犬の匂いが嗅ぎたい。Twitter:@nakano_books