「自衛隊中東派遣で退職希望者が続出」「派遣先では何が起きても自己責任」…野党が取り上げたFB投稿は真実か? 異様に具体的な検証ツイートあらわる「興味深い」「考察がすごい」
- WakutaniUocho
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発端
自衛隊中東派遣が迫り、これに反対する自衛隊員と家族が追い詰められている。 大多数の国民は知ることの出来ない自衛隊の実態を、多くの人に知ってほしいと訴える。 #自衛隊中東派遣 #イラン #トランプ これが平和か? #公明党 #創価学会 【登坂 新之助さんFB】 m.facebook.com/story.php?stor… pic.twitter.com/rJxR7s2lC1
2020-01-07 09:40:14検証
拡散された自衛隊中東派遣に関する登坂新之助さんのFB投稿について、6か所おかしな点があると言及したところ、「具体的にどこか」との質問がありましたので、長文になりますがお答えします。 投稿文を改めてよく読めば、6個どころか8個ツッコミどころがありました。 理由はぶら下げて書きます。 pic.twitter.com/HSMblPPmEw
2020-01-09 23:27:24①「自衛隊の中でも拒否する隊員が相次いで居る」について 【派遣予定部隊内に関する考察】 報道によると、今回の派遣は海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」と哨戒機P-3C1機が予定されています。 となると、P-3Cを主力機として運用している八戸か那覇の航空隊が交替で指名されることになります。 (続く)
2020-01-09 23:27:25この2部隊は、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処(船舶護衛)任務にこの10年近く従事しており、すでに豊富な派遣実績があります。 というより、今まさにアデン湾で上空哨戒と船団護衛をしているP-3Cが、活動海域を東寄りにずらすだけなのです。 (続く)
2020-01-09 23:27:26そこの隊員が、「アラビア半島の南(アデン湾)ならいいけど、南東(アラビア海・オマーン湾)はイヤだ」などと今さら言いだす合理性がありません。 かれらはジブチ共和国内の自衛隊拠点を勤務・生活の基盤にしており、P-3Cが補給のためにアラビア半島東部の空港に立ち寄ることも多々あります。 (続く)
2020-01-09 23:27:26護衛艦についても同様で、「たかなみ」は何度もインド洋・ソマリア沖への派遣を経験しています。 当然、無補給で航海はできませんので、ドバイやオマーンなどの国際港に寄港します。 「寄港ならいいけどその沖合で任務につくのはイヤです」では支離滅裂です。アンタ何回もそこ通ってるでしょ。 (続く)
2020-01-09 23:27:27「たかなみ」にかぎらずとも、海上自衛隊のDD型護衛艦はほぼ例外なくインド洋やソマリア沖・アデン湾へ派遣されたことがあり、中東付近への派遣が耐えられないほど苦痛な隊員は、とっくに海上自衛隊を去っています。 もしくは派遣される可能性のない部署に転属しています。 (続く)
2020-01-09 23:27:28【派遣予定部隊以外に関する考察】 自分の所属する部隊が指名されてもいない内から、先制的に派遣拒否を宣言するような奇特な隊員がいるとはあまり思えませんが、まあ中には存在するのかもしれません。 それを聞いた同僚や上司も「わかったわかった、ウチが行くことになったら聞くから」としか (続く)
2020-01-09 23:27:28返しようがなく、困惑するでしょうね。 しかし閣議決定された12月27日の翌日から、登坂新之助さんの投稿直前の1月5日まで官公庁は冬期休暇中であり、自衛隊でも当直員以外は部隊には残っていませんが、派遣を拒否する隊員は一体誰に向かって宣言したのでしょうか? 休暇中の上司に電話したの? (続く)
2020-01-09 23:27:29以上のことから、「中東派遣が決定されて拒否隊員が相次いで居る」は、実際に起こっている可能性の低い記述と考えます。 ①の解説終わり。 ②「辞職することさえ許されない」について 国の都合で隊員の依願退職を制限するにも、法的な根拠が必要です。 (続く)
2020-01-09 23:27:30日本が有事でなく平時の段階において、隊員の退職を禁止・制限する法的権限は防衛大臣にもありません。 そして段階を平時から有事に認定するのは政治的ハードルがめちゃくちゃ高く、中東でドンパチやってた湾岸戦争やイラク戦争の最中も、その後自衛隊が現地付近に派遣された時代も、隊員の (続く)
2020-01-09 23:27:30中途退職制限は発動されませんでした。 もし現時点で「辞職は許されない」などという上司が本当にいるなら、その人が違法なので、本省の監察本部あたりに通報してもいい案件です。 ②の解説終わり。 あと6か所残っているのですが、あまりに長くなるので、続きは後日書かせていただきます…。 (続く)
2020-01-09 23:27:31②の補足 自衛隊員の依願退職は今でも平常どおり認められています。 私の知る、ある1,000人弱規模の航空部隊では、来月3名の若者が退職するとのことです。 もっともそれは中東派遣決定が理由ではなく、それ以前から申し出があったもので、他にやりたい仕事ができたとの前向きな理由からです。 (続く) pic.twitter.com/NH4WJ8uqoO
2020-01-11 00:24:02そして閣議決定後もかれらの退職手続きは凍結されておらず、「辞職すら許されない」との記述は明らかに事実に反しています。 ③「若者隊員が数人で直訴するも認められず」 数人で何を直訴したのでしょうか。 派遣反対? 派遣拒否? 依願退職? (続く)
2020-01-11 00:24:03③-A.派遣反対の場合 個人の政治的信条を職場に持ちこむという国家公務員にあるまじき行為、上司が取りあわないのも当然です。 自衛隊員にも参政権はありますが、それは選挙での投票行為を通じてのみ行使してよいものです。 (続く)
2020-01-11 00:24:04③-B.派遣拒否の場合 (①で書いたとおり、私は派遣拒否は信憑性が低いと考えていますが) いわば自分の思想で仕事を選り好みしていることになりますので、その若者たちの責任感や使命感を涵養するためも、まず上司としては任務の意義や目的を説いて熟考を促します。 (続く)
2020-01-11 00:24:04それでもどうしても行きたくないと考えが変わらない場合は、派遣隊員から外します。 なにも個人の信条が理由でなくとも、老親を週一で地元の病院に連れていかなければならないなどの家族介助の理由で、派遣から外された隊員は大勢います。 何がなんでも派遣を強制されることは一切ありません。 (続く)
2020-01-11 00:24:05③-C.依願退職の場合 集団で徒党を組んで退職を申し出るのは、自衛官の場合危険です。 組織的な職場への請求(これだけ一気に大勢辞めてやるぞという脅し)、団体交渉に類する行為と写りかねません。 自衛官に労働三権は基本適用されないのです。 (続く)
2020-01-11 00:24:05そんな法に抵触するような手段を若者たちがとってきたら、まともな上司ならまず、彼らの立場を守るためにもいったん解散させて、個別の話しあいに持ちこみます。 個々人なら②補足に書いたとおり、辞められます。 数人での退職直訴を上司がすぐには認めない、これは仕方のないことです。 (続く)
2020-01-11 00:24:06誤解のないよう書きますが、私は「集団直訴なんてあるわけない」「直訴の権利は自衛官にはない」と言いたいわけではありません。 海上自衛隊のインド洋派遣直前のエピソードだったと記憶しますが、派遣艦艇の中で乗組員向けの事前説明会が行われた際、 一人の勇気ある海曹が挙手して発言を求め (続く)
2020-01-11 00:24:07居並ぶ幹部たちを相手に 「自分は命の危険は惜しくない、ただ何のために行かねばならないのかを知りたい。 それがわかれば、自分は家族にも『心配するな』と笑って言える」 と涙ながらに訴えたことがありました。 それを聞いた艦長もその心意気に感じ、真摯に派遣の意義と目的、 (続く)
2020-01-11 00:24:07国民への貢献度などを詳しく説明して、訴えた海曹は納得でき、艦内の士気も向上したそうです。 さて、想定しうるパターンについて3つ考察しましたが、結局、登坂新之助氏の知人が何を直訴したのか分からないことには何も確定的なことは言えませんので、すっきりしない状態で③を終わります。 (続く)
2020-01-11 00:24:08