京極夏彦氏ら、電子書籍ビジネスを斬る

京極　「DTPワークフローを取り入れた時も、凸版のブースで話をしたが、編集者の仕事を奪うなとか印刷会社の仕事を奪うなとか言われた。印刷会社のブースで話しているのに。
当時から出版不況と言われていて、今後に備えるために必要だと思って言っていた」

京極　「文庫は元々金のない大学生なんかが買えるように出てきたんですよ。
今だって文庫の読者は安いから小さいから買うんですよ。それを『文庫というのは評価が定まった作品を後世に残すために解説などを付与して底本として（偉そうな口調で唐木氏のモノマネ）』
そんなのは出版社の言い訳です。
それを偉そうに文庫化しましたとか決定版とか言って内容付け足したりして…ハードカバーの読者はずっと前に高い金払ってるのに。
ハードカバーの読者にも文庫の読者にも悪いんじゃないか」

紺野　「京極さんはハードカバー・ノベルス・文庫・電子版と四形態同時発売などもしてますね」

京極　「ユーザ層が違うのでそれぞれに売れます
それをハードカバー出して三年も待たせて文庫落ちなんて言い方をして……。文庫が出るまで待つ人も多いんですよ。普通三年も待ってくれませんよ」

唐木さん→紺野さんの間違い。

紺野　「今後の電子書籍に求めることは何ですか？」

書誌というか書影？
唐木　「電子書籍ストアやリーダーというと本の表紙がずらっと並ぶけどあれはブックスタンド的な並べ方で一覧性が低い。背表紙をずらっと見たい。
やっぱり集めたら背表紙が並ぶ満足感が欲しい。電子書籍なら広い部屋も必要無いし」

京極　「今まで出版社は雑誌広告収入モデルでやってきた面があったかと思うがそのモデルが既に変わっている。
コンテンツは出版社の力であり、それをきちんと売って行かないといけない。
電子書籍はありものだけで回そうとしている感がある。フォントにしろ文章にしろ組版にしろ書籍のものをただ流用している。
別のメディアなんだからそれだけでは駄目なのは当然で、先人が本を完成させたように電子書籍を創っていかなければならないはず」

以下蛇足