不知火に落ち度はない特別編　-川内ボルネオ探訪記（完結）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、さて。 ではそろそろ落ちぬいボルネオ編を始めるとするかねえ。20時から始めるヨー。

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なお、もちろん川内編だよー。 頭の中で思いついた奴が、結構長めなんで寝たい奴は寝ろッ！！ 良いなッ！！！ ってことでどうぞひとつ、よろしくです。ニンジャ！ #落ちぬい

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状況は、最悪であった。 #不知火に落ち度はない

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会議室。 そこは今や、権力と思惑が渦を巻く、打算と悪意が入り交じった場所へと変わっていた。 大将も少佐も、そこではある意味平等だった。 そうして俺も、兵頭大佐というバッチを付けて、その場に居合わせる。 繰り返すが、状況は最悪であった。 #不知火に落ち度はない

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なお、焦点になってるはずのその人物は、我関せずの姿勢のままで、椅子に腰掛けて話を全力で聞き流しておいでだ。 お前起立って言われてたよな。その椅子どっから持ってきたの？ ふてぶてしいったらありゃしませんね、この生き物。 #不知火に落ち度はない

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なお、もちろん海ぼうずの面子も参戦しており、モグリはハナっから聞く気無いって顔をしてるし、ギンブチは状況を笑って見ている。 でもって龍田ももちろんいますよ。元帥のお隣にね。 おい、そこの熊類。会議中ぐらい笹喰うのやめろ。 もっさもっさうるせえ。 #不知火に落ち度はない

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さて、ではそろそろこの状況について、説明しよう。 まあ、平たく言えばこれは軍法会議。 そして裁かれる対象は、あそこに座ってLINEで妹に連絡とってる川内である。 どこまでもあいつはフリーダムであった。 やめさせろって視線が俺に突き刺さりなう。 #不知火に落ち度はない

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さて、罪状は？ これがな。 なんともな。 罪は誰にあるのか、って言われたら。 強いてあげれば、あそこにいる川内がきっかけで起きた、いわゆる一つの魔女裁判だったりする。 形式上は、独断専行による多大な軍的被害・作戦妨害である。 #不知火に落ち度はない

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経緯はこうだ。 俺達は今から一週間ほど前に北方の深海棲艦の巣を叩きに行った。 いわゆる連合艦隊を組み、戦力を結集させてその領域を人間の領域として取り戻した。 それは日本だけではなく、例えば北方──ロシアの戦力も実は参加した大規模作戦であった。 #不知火に落ち度はない

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連中の巣になってる場所から、人間の領域を取り戻したつーのはそりゃあ嬉しい話だ。 このときばかりはロシアの軍人と連絡を取り合い、勝利を祝い、この会議室も戦勝ムードでいっぱいだった。 そこまでは、よかった。 だが、誰しもが口にしなかったことがあった。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

その大規模作戦だが、予想されていた深海棲艦群の数が明らかに少なかったのだ。 まるで「事前に避難した」みたいな感じでな。 つまりがらんどうの基地をよってたかって制圧したみたいな状況になった、と思えば良い。 それは勝利だが、どこかに逃げた連中はまだいる。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そして、それは3日前に発見された。 別方面に逃げた大多数の深海棲艦が、再集結しつつあると。 しかもたちが悪いことに、すんげえ数の援軍とともに。 まるで俺達の戦力が、いきなり増強されたという認識を持ってるが如く。 そして本日、海域の放棄が決定した。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

これに関しては北方方面も承諾済み。向こうの観測台にもデータが入ったらしい。 深海棲艦群の師団が、堂々と行進をして通り過ぎていったそうである。 うん。もうわかるだろ？ アメリカ方面からも同じようなのが来ちゃったんだよ。 これにゃ日本もお手上げだ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、さて。まあそいつはしかたねえ。 連中が結集して日本に攻め込んでくるのか－、みたいな声もある。 そこらは再度北方と手を組んで話を進めねばならない、が。 じゃあ、なんで手薄だったのか。 でもって、なんで師団なんて組んできやがったのか。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや、別にこいつが深海棲艦に対して、何らかのものすげえウルトラスーパーセクシーパワーを秘めてるとかはねえぞ。 あと、別に深海棲艦の一人を拉致って拷問して遊んだとかもねえ。 じゃあ何やったかつーと、だ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

伝説級な大武功をあげちまったのだ。 運悪く、たまたま。 俺達が作戦海域に展開するよりも早いタイミングで。 それがなければひょっとすると、今頃こうして軍法会議なんざできなかったかもしれん。 そんなことをやらかしてくれやがったのである。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

俺達の北方海域進軍は、事前に漏れていたのか。 それとも、あるいはたまたま進攻タイミングが重なったのか。 国内が手薄になった所へ、深海棲艦群が接近してきてたのだ。 数にしておおよそ100超。 いわゆる大進攻の状態である。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

でもって、そこまではいい。 観測台がはじき出す海域まで接近すれば作戦一時中止、各基地に連絡を入れて余剰でどうにかする。 それが、ベターな作戦と言う奴である。 が、このニンジャですね。 運悪く遭遇しちゃったんですよ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

たまたま、川内がその日の夜、哨戒に出てたんだけどさ。 ほら、こいつ夜戦バカじゃん？ 月を見てテンションが上がったらしく、本来の海域から思いっきり離れたトコまで遊びに行ってたらしい。 そしたら100超の深海棲艦に、単独で会敵するハメになった、と。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そして、川内にとっての不幸はさらに続く。 普通そういうのを見たらいくらこのアホでも、基地に連絡は入れる。 そしたら撤退して、仕切り直しといく、ってのが鉄則だったんだけどさ。 通信機が故障して使い物にならなかったみたいなんだわ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、ニンジャは考えた。 その妹と妹二号の生活しかない頭で考えた。 考えた上で、結論を出した。 『ここでがんばれば、お姉ちゃん褒められるチャンス！ 姉としてすごい尊敬される！』 証言をノーカットでお送りしてます。頭痛しかねえ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

つーわけで、単艦で100超の深海棲艦群に夜戦を仕掛けたというありさまでしてな。 しかもこのバカ姉、そんなときに限って最高潮に本気出しやがったらしい。 夜から朝まで大激戦を繰り広げ、敵空母多数、敵戦艦ほか色々沈めに沈めたその数なんと62機。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

なお、途中で弾が足りなくなった分は沈んでく敵船から回収して再利用したりとやりたい放題。 これには深海棲艦群もびびる他ねえ。鬼神もかくやといわんばかりのニンジャ戦闘である。 朝になった時点で撤退し、そうして日本の朝は平和だったというわけ。 #不知火に落ち度はない