小学生にWeb記事を書いてもらおう
こんにちは。Webライターのたかやです。
文部科学省の推進する「GIGAスクール構想」により、現在の小学校では生徒1人に1台ずつのタブレット端末が配布されるようになりました。
小学校の授業で、タブレットが使える。すごい時代だ…。
自分が小学生のころなんてPC室で「一太郎スマイル」や「寿司打」で遊びながら「Oh…最先端…」と驚いてたレベルですからね。
以前、開催した「大人たちが本気で読書感想文を書く」。
その際に、取材にご協力いただいた新潟大学附属新潟小学校で教鞭を取られている中野裕己(@yuuuuki0430)先生の授業でも、タブレット端末での学習が積極的に導入されています。
取材を通して驚いたのが、「国語」の担当教員である中野先生の授業では、作文もiPadで書かれているということ。
https://togetter.com/kiji/2022/11/02/110936
作文にタブレットやiPadを用いることのメリットとして「推敲がやりやすい」「(推敲の回数が増えるから)文章の誤字・文法のおかしさに気づける力が身につく」などがあるんだとか。
末恐ろしい…。たぶん、いまの小学生、僕が小学生のころよりも文章力が高いかもしれない。
そこで、こんなことを思いつきました。
上述の通り、いまの小学生は当たり前のように「電子機器でモノを書く・調べる」を行っています。
つまり、「Webライターに必要なスキル」が充分に備わっている…と考えることもできますよね。
そんな子どもたちが書いたWeb記事、読んでみたい…!
といった企画の相談を中野先生にしてみたところ、ありがたいことにご快諾いただきました!やった~!
そんなわけで今回は、新潟大学附属新潟小学校5年生の児童35人に、Web記事を書いてもらいました。
果たして、現役の小学生が生み出すWeb記事は、どんなものになるのか!
もしかすると、この中から未来のWebライターが誕生するかも!?
企画内容決め

中野先生、Webライターたかや、Togetterオリジナル記事編集部・紫蘇の3人で、今後の方針・児童の記事の制作方法・スケジュールなどを決定。
打ち合わせの結果、今回、児童の皆さんに作成してもらう記事は、Togetterオリジナルでもおなじみ「X(Twitter)に投稿されたおもしろ投稿の紹介記事」。
今回、子どもたちが記事を書くための投稿は、たかや+Togetter編集部が用意した架空のものを渡しました。
▼架空のツイート➀▼
▼架空のツイート➁▼
▼架空のツイート③▼
▼架空のツイート④▼
▼架空のツイート➄▼
これらの投稿内容、読者のみなさんの中には「ん?」と感じた方もいるかもしれません。
……そう。これらのツイートには
フェイク(嘘)の情報が含まれています。
例えばコレ。調べたら一発でわかるんですが…。
実際はプラスチックではなく、イカの軟骨(なんこつ)。イカを捌けば必ず出てくるやつ。
このように、すべての投稿には真偽不明の情報を紛れ込ませています。
で、なぜこんなことをしたかと言うと…
「ネットでの嘘を見抜く力」は、Webライターにとってめちゃくちゃ必要な能力だから!
ソース元の情報をきちんと調べて、記事に組み込む。Webライターが記事を制作する際に行うべき工程を、今回、小学生にも体験してもらおうという試みです。
この企画を通して、児童にはネットの情報に踊らされず、情報の正確性を疑う視点を持ってもらえたら…という思いもあります。
っていうか、ネットのソース元を調べるって大人でもできていない人もいますからね。
投稿にフェイク情報が含まれていることは、児童にも事前にアナウンス。
児童の皆さんは、ツイートのどこに誤情報が含まれているのかを自分で調査。
そのうえで、投稿主(=Togetterオリジナル編集部が担当)に質問を投げかけてもらいました。
執筆に必要な材料が全て揃ったら、こちらが用意したフォーマットに則りながら、記事を制作してもらいます。
例として、Webライター・たかやが書いた記事がコチラ。
▼たかやが書いた記事▼

中野先生による児童への授業
その後、中野先生に授業の枠を使って
・企画の説明
・題材となるツイートを児童に選んでもらう
・ツイート投稿主への質問を考えてもらう
を実施していただきました。
また、先ほど僕が書いた記事も、お手本として児童の皆さんに紹介してもらったみたいです。
国語の先生に、自分の記事を解説してもらうなんて…。ヒェェ…。
こんなことなら、ゴーストライターを雇うんだった。
っていうかコレなんて読むんですか…? おかつ…? おけつ?
※編集部注:正解は「びかつがた」です!(結論が最後に書いてあるタイプの文章)
たかや・編集部、小学校訪問

中野先生から「児童にWeb記事を書く上でのコツをレクチャーしてほしい」との連絡が来たため、新潟に来ました。
まぁ、書きかたのコツを教えるだけなら、リモート通話でも全然済むんですけど…。
ぶっちゃけ、ふつうに旅行がしたかった。「記事の撮影」という建前で旅行がしたかった。
Webライターの“醍醐味”の部分を、身を持って子どもたちに伝えたい所存です。



小学生の前で講義。そんな経験、人生で初めてなので、めちゃくちゃ緊張した。
こんなん言ったらアレかもですが…。小5から感じる圧(プレッシャー)って、大人のソレとなんら遜色ない。ちゃんと“凄み”があった。

とりあえず
「Webライターはこんな仕事だよ」
「難しく考えず、気楽に書いて欲しい」
「どのライターも撮影という名目で飯ばっか食ってるよ」
などのことを伝えられたので、充分に役目は果たせたと思います。


これまでの自分の活動実績も紹介しました。

あと、いまの小学生、ほんとうに授業でiPadを使ってた。
ニュースで知ってはいたものの、実際に間近で見ると、衝撃がすごい。
授業の内容をメモしたり、気になる箇所にはマーカーを引いたりとかは、ノートでもiPadでもそこまで変わらないんですけども…。

僕が子どもたちの前でしゃべっている様子を動画で見ると、めちゃくちゃブラインドタッチで入力してメモを取ってました。
さらに、この写真を見てもらえばわかると思うんですけど、机の上がゴチャついてない。
いまはプリントも紙ではなく、すべてデータファイルで配ってるらしくて、そういうのは、やはり時代が変わったな~と実感します。
プリントをデータで配ってもらえると、「忘れる」ってことがないから、それは本当にうらやましい…。
自分は小学生時代、教科書もプリントもしょっちゅう忘れる子どもだったからさ…。
いまの小学校の授業現場を実際に見ることができて、こちらとしても大変ありがたい機会でした。
講義後、僕たちは最寄りの回転寿司屋へ。

新潟、米美味すぎ魚美味すぎ。
以前、先輩ライターから「新潟では、高級店に行かなくても、駅前の回転寿司屋に行くだけで“最高”になれる」と聞いたことがあったんですが…。
どのネタも、そんじょそこらの寿司とはレベルが違う。のどぐろの寿司、美味すぎてひっくり返るかと思った。レべチ、レべチですわ。
少し前にTwitterでバズってた「新潟県産米食べ比べおにぎり」も新潟駅で発見できてテンションあがりました。
児童の記事完成!

そして新潟旅行から一週間後。
児童35人分の記事が届きました!


うわ~~~!!!
本当にすごい!!!! 感動!!!
こちらの無茶ぶりとも言える企画に、児童の皆さんが応じてくれた。それだけで、本当に胸が熱くなります…。
そしてすべて拝読しましたが…。マジでみんな文章が上手すぎる!
「えっ、小5ってこんなにちゃんとしてたっけ!?」と思えるほどの完成度の高さ。末恐ろしい…。恐ろしい子どもたち!

フェイク情報に対しても、児童全員が、ネットで正しい情報を調べあげてくれました。デジタルネイティブ世代である彼らの、ネットリテラシーの高さがうかがえます。



また、これは主旨とは関係ありませんが…。小学生の考えるペンネームがどれも面白すぎた。
「小5のネーミング感覚ってこうだよな」と懐かしい気分になれるほど、秀逸なペンネームばかり。
優秀賞発表!
さて。僭越ながら……。
児童が書いてくださった記事の中から、5本の優秀作を選出させていただきました。いや、ほんとに僭越ながら…。
まぁ、最初の打ち合わせの段階で、先生から「そのほうが児童もやる気がでます!遠慮せず選んでください」とも仰っていただいたので…。
というわけで、特にすばらしかった5つの記事を、たかや&Togetterオリジナル記事編集部員・紫蘇(しそ)のコメントと合わせて発表させてもらいます!
※画像の位置などはバラバラですが、子どもたちがiPadを使って作成した記事そのままを紹介しています。
▼1人目:ゆきゆきさん▼
たかやコメント… ネットで調べるだけに留まらず、「自分でも検証してみる姿勢」は完全にWebライターなので最高です! また、インタビューの最後、相手に「ありがとうございます」とお礼を述べていたのもすごい…!僕のお手本では忘れてました…。
紫蘇コメント…ちゃんと読み手が気になるタイトルになっているところにまずびっくり。そして実際にやってみたのも素晴らしいですね。「やってみた」はWeb記事の真骨頂です。
▼2人目:TKGさん▼
たかやコメント…タイトルで爆笑しました。『夏必須 これ絶対やって 夏 夏やると得になる裏技』 ←記事のタイトルって、こんなにも自由で、パワフルでいいんだ…。 すごい…!
紫蘇コメント…タイトルがパワフル過ぎて大好きです。もう来週から全部こういうタイトルにしたい。こんなにはっちゃけてるのに、缶が冷える原理をちゃんと調べて書いているところが立派でした。
▼3人目:クッパの体重知りたい人間▼
たかやコメント…読みながら何度も声を出して笑いました。なんて素晴らしい。牛の声を「俺っち」とキャラクターづけているところも最高だ…。
紫蘇コメント…「髪の毛は伸びると思いますか?」という読者に問いかけるスタイルを会得しててびっくりしました。
▼4人目:sakura sakeさん▼
たかやコメント…大人顔負け…いや、大人でもここまでしっかりした記事は書けないかも…! なんなら、ぼくよりもちゃんと書けてる…!超すごいです!
紫蘇コメント…「執筆のご依頼をさせていただいてよろしいでしょうか?」って喉まで出かかりました。間違っている点と実際のところを明確に分けて書いているところに文章力の高さを感じましたね…。
▼5人目:柊の季節さん▼
たかやコメント…ツイートの紹介記事というよりも、妄想全開のストーリー記事でしたが、それが逆にすごく面白かったです!!!
紫蘇コメント…まずペンネームが渋い。カラスの視点と、おじさんの視点の両方から書かれているところが良かったです。
以上。どれも大人顔負けの素晴らしい記事ばかり。皆さん、本当に小5ですか!?
ただ、やはりこれだけは言っておきたいんですが…….
もう、ほんと~~~~にコレ! どの記事もクオリティが高すぎました! 全員優勝!超すごい!
まとめ:Webライターの未来は明るい
そんなわけで今回は現役の小学生35人に、Web記事を書いてもらいました。
上から目線な言い方になってしまいますが…。たしかに、いまの小学生、文章能力が高い。
正直、ここまでしっかりとした文章を書いてくるとは…。自分が小5のころ、もっとチャランポランだったよ?
そしてその背景には、iPadやタブレットを活用した授業体勢の効果もあるのかもしれません。
個人的な思いとして…。
この歳からこれだけしっかりとした文章を書けるんだから、ぜひとも、将来の進路に「Webライター」も選択に入れてくれたらなぁ…と考えてしまいます。
というか、いまの小学生には「ネットで活動する人=YouTuber、VTuber、Tik toker」だろうし…。
Webライターという職業を彼らに伝えられただけでも、この企画を開催した意味はあったハズ。
業界の未来の明るさも見えつつ、今回は大変すばらしい機会を体験できました。
ご協力いただいた新潟大学附属新潟小学校・中野先生、児童のみなさん、本当にありがとうございました!

中野先生とはこれまでリモート上でしか話したことなかったんですが、実際にお会いしたら、めちゃくちゃ高身長でビビりました。隣に並ぶと、たかやが小学生に見える。
おわり