東浩紀「ゼロ年代批評なるものは、メフィスト/ファウストが存在しなければ成立していなかった」

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坂上秋成 @ssakagami7776

凄く個人的な話と結び付けて言えば、2004年は綿矢りさ、金原ひとみが芥川賞をとった年だ。で、何となく文学好きな人たちでもどこかしっくりこない感覚、時代に言葉が追いついてない感覚を持ってたと思う。そんなクソガキ共のハートや自意識をファウストは完全にキャッチした。

2012-07-05 12:27:58
坂上秋成 @ssakagami7776

ゼロ年代後半にはみんな「祭り」というキーワードで動いていた感じがあるけど、その始まりはやっぱりファウストにあったんじゃないかなってなんとなく思う。ファウストは毎回目玉になる企画を用意していて、コストとか時間とか考えてもこんなん普通やらんだろ!ってものばかりだった。

2012-07-05 12:29:16
坂上秋成 @ssakagami7776

とにかく太田さんの編集者一人体制というとんでもない企画の中で、面白いことをやろうという熱量はバシバシ飛んでた。特に忘れられないのがファウストvol.4での文芸合宿企画である。参加メンツは西尾維新、乙一、佐藤友哉、北山猛邦、東浩紀、太田克史。

2012-07-05 12:32:51
坂上秋成 @ssakagami7776

文芸合宿は3泊4日で作家を拉致し、「上京」をテーマに50枚の小説を書き、しかも5人でリレー小説完成させろというとんでもない企画だった。読者的にも頭おかしいだろ!とツッコミたくなる話だった。

2012-07-05 12:34:16
坂上秋成 @ssakagami7776

で、作家さんたちがどんな様子で書いてるのかとかまで細かくレポートとかされるわけです。滝本さんが全く進まないと嘆く横で西尾維新さんが「もう書き上がりました」とか言ってみんなが驚愕するとかそんな感じ。それでみんなが最終的に書き上げた小説に東さんがコメントしていくって流れだった。

2012-07-05 12:35:55
坂上秋成 @ssakagami7776

批評のことなんか何も分からない俺は「入れ子構造?乙一さんそんなこと考えてねーよ!」とか「何で地獄の島の女王の耽美な世界がわかんないんだ!」とか自意識満載の痛いツッコミをひたすら東さんに心の中で入れまくっていた。今思えばそれ自体が太田さんや東さんの狙いだった感、ある。

2012-07-05 12:37:48
坂上秋成 @ssakagami7776

あ、あの時の文芸合宿の5編では、今でも佐藤さんの「地獄の島の女王」が一番好きです。あと、リレー小説で西尾維新さんが「ゴスッ」って書いた時のセンスに度肝抜かれたのは忘れられないです。

2012-07-05 12:39:51
坂上秋成 @ssakagami7776

そんな風にファウストが盛り上がる中で、当然のように美少女ゲームもハンパなく盛り上がってた。その結節点にいたのが東浩紀で、結果的に『ゲーム的リアリズム』の誕生に繋がっていく感性がすでにあった。そもそも『ゲーム的リアリズムの誕生』はかなり読みやすいものになっているけど、

2012-07-05 12:42:48
坂上秋成 @ssakagami7776

実はプレ原稿として「メタリアルフィクションの誕生」という連載がファウストに掲載されていたのです(割とゲーリアと文体とかも違う)。おそらくそこで東さんが考えていたのは、今起こっている文芸の盛り上がりと美少女ゲームの盛り上がりには共通項があるし、そこでムーブメントを作るべき、

2012-07-05 12:45:59
坂上秋成 @ssakagami7776

作れるはずだということだったんじゃないかと思う。そこでキーワードになったのが自然主義文学の透明性とは異なる半透明な存在としての「キャラクター」であり、コミュニケーション指向メディアの可能性であり、環境分析的読解の重要性である。

2012-07-05 12:48:23
坂上秋成 @ssakagami7776

ただ、実際には『ゲーム的リアリズム』の誕生は純文学サイドからガン無視されてしまった。同時に、2000年代の文化のターニングポイントというか、それまでのオタク的な感性が辛くなった時期もあって、何となくムーブメント感が後退していったように思う。

2012-07-05 12:51:11
坂上秋成 @ssakagami7776

『ゲーム的リアリズムの誕生』はマジでオタクの消費形態や新しい文学性をどう捉えるかを緻密に描いた超傑作なんだけど、多分唯一の問題点は環境分析的読解というのが凄く分かりにくかったことにあると思う。

2012-07-05 12:52:29
坂上秋成 @ssakagami7776

東さんはこれを読者とテクストの間に挟まれている環境をも考慮しなければ批評できないタイプの作品があるって説明したんだけど、そこは難しかった。ザックリ言えば、純文学とオタクカルチャーでは消費者も消費形態も違っているので、市場や文化の差異まで含めて読まなきゃダメよという

2012-07-05 12:54:14
坂上秋成 @ssakagami7776

シンプルな提案だったんだけど、そこはなかなか理解されなかったように思う。コミュニケーション指向メディアという言葉とかもそうだ。今だったら「ネット出てきて繋がりの社会性が重要な時代だとニコ動とかでコミュニケーションのためにコンテンツ作るでしょ」とか言えちゃうわけだけど、

2012-07-05 12:56:12
坂上秋成 @ssakagami7776

当時は多分直感的に言っていることが理解されにくかったのだ(僕もピンと来てなかった部分、多々あります)。しかし、電子書籍とかに関してもそうだけど、絵や文字を乗せるシステム自体が変化している時代に、その環境を考慮しないでテクスト読解を行うのって絶対におかしいはずなんだ。

2012-07-05 12:58:07
坂上秋成 @ssakagami7776

僕は基本的にキャラクター文化とか大好きだけど、同時に物語なしでキャラクターは機能しないとも思ってる。ただ、そこで物語という言葉を使うためには、消費環境の変化や新しく出てきたシステムやジャンルを踏まえた上での更新を図らないといかんのじゃないかと、そんなことを思ったりします。

2012-07-05 12:59:49
坂上秋成 @ssakagami7776

この話にはオチがなかった・・・

2012-07-05 13:00:01
坂上秋成 @ssakagami7776

単に「あの頃自分がどれだけファウスト好きだったか」という話なのでオチがあるはずもないんだけど、TLでファウストへのそれぞれの思い入れが見れて嬉しかったです。マル。

2012-07-05 13:01:29
杉田悠 @sugita_u

舞城が芥川賞にひっかかりそうな作品を発表していた事すら知らなかった。そういやこの四ヶ月間くらい文芸誌に全く目を通していない。というか資料以外の本をほとんど読んでない。生活から潤いが消失している。

2012-07-05 08:46:58
杉田悠 @sugita_u

凄い青臭くて小っ恥ずかしい思い出を語れば、ファウストの文芸合宿を読んだ時に自分が感じたのは「なんで俺はここにいないんだろう」という強烈な嫉妬だった。

2012-07-05 12:43:57
なきがお @Nakigao_

映画か漫画が好き。目標は適当に生きること。偶に飯をつくる。