ラノベ新人賞で「まるでシリーズ第一巻の様な投稿作品」が過半数を占めているという悩み

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ライトノベル作家 榊一郎先生のツイート

代表作

『ストレイト・ジャケット』(2000年)
『神曲奏界ポリフォニカ』(2005年)
『アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者』(2011年)

Wikipedia「榊一郎」より引用

過去の新人賞選考委員経歴

MF文庫Jライトノベル新人賞選考委員 第0回(2004年) - 第3回(2007年)
HJ文庫大賞選考委員 第1回(2006年)、第2回(2007年)
講談社ラノベ文庫新人賞選考員 第3回(2013年) - 第5回(2015年)

※他にも就任されているかもしれません。

榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

ところでふと。ここ最近の生徒や、新人賞の投稿作を見ていて、「うーん」と思う事。原因はむしろ我々(プロの作家や出版社、編集部側)にある事は百も承知だが、やはり困ってしまうのは「まるでアニメ第一話やシリーズ第一巻の様な、物語として多分に引きネタを残した投稿作品」が過半数を占める事。

2014-09-07 23:19:28
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

受賞作がそのままシリーズ化する例は珍しくないし、そもそも、ラノベでシリーズでないものの方が少ないんだから、投稿者が「そういうもの」と思って書いちゃうのは仕方ない、仕方ないと思うのだけど、大風呂敷広げたまま畳まず、小エピソード一本まとめただけのものがやたらに多い。

2014-09-07 23:21:08
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

完結している事、の定義は難しい、ラノベだと尚更、なのはこっちもよく分かっているのだけれどね……例えばうちの作品でいえばチャイカの第一巻位の内容で終わってる様な投稿作が普通にある。え? 遺体全部集めるまでやらんの? とか思ってしまう訳ね。

2014-09-07 23:25:00
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

まあ、いずれにせよ、「ラノベの新人賞にはシリーズ第一作となる事を想定して、敢えて色々ネタを仕込んで、その大半はネタバレせずに(伏線回収せずに)置いておくのが『正しい』」と思われちゃうと、「いや、それは違う、違うんだよ(泣)」と言いたくなるというか。

2014-09-07 23:41:15
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

続編を執筆可能な作品である事と、風呂敷を畳んでいない作品である事は違いますよ、とでも言いましょうか。例えばJOJO第三部で、花京院仲間になって、エジプトに向けて旅立つ、ところで一巻、としてこれを「完結した」投稿作として送ってこられると、「え?」となるというか。

2014-09-07 23:43:37
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

まあ、個人的には一巻完結のネタとかも書かせて欲しいんだよなあ、という思いがあったところに、そういう投稿作がやたら増えたというのを、自分でもここ数年見てきたし、話にも聞いてきたので、業界全体の問題(でも商売としては仕方ない部分がある)なんだろうなあと嘆いている処でありますよ。

2014-09-07 23:46:36

Twitterでの応答

team TO @team_TO101

@ichiro_sakaki 純粋に投稿デビュー作で一巻完全完結ってのは最近確かに少ないですね。

2014-09-07 23:23:49
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@team_TO101 なので、きっちり閉じていない、シリーズ第一巻みたいな投稿作が多いのは、ぶっちゃけ、業界の側に問題があるんですよ。それは百も承知しているので、さて、どうしたものかと頭を抱えている状態。

2014-09-07 23:27:57
神無京月邸 @kyougetsutei_ka

@ichiro_sakaki 最近は漫画でも小説でも、ジャンプみたく読者煽らないと売れなくなっているんでしょうか?

2014-09-07 23:24:01
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@kyougetsutei_ka 読者をどうの、というよりも、「ラノベってデビューしたら、そのデビュー作をシリーズ化しないといけなんでしょ? だったらその為にネタは残しておかないと」的な理解をされているのではないかと。そしてそう投稿者が思ってしまうのは、ある意味、当然なのです。

2014-09-07 23:29:15
Masahiko KIMOTO 木本雅彦 @masahiko_kimoto

@ichiro_sakaki 審査側も、デビュー作後に話を広げられるかという観点で評価していたりしないでしょうかね。少なくとも、応募者に、そういう評価軸があるように思われている気がします。

2014-09-07 23:24:38
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@masahiko_kimoto まあ、多少そういう評価軸はあるでしょう。ですが――どういえば良いのかな。「続編を書ける話」が、必ずしも「あちこちに畳んでない風呂敷を露骨に残している」訳ではないですよね。

2014-09-07 23:31:53
壱札キセキ @Violet_Magician

@ichiro_sakaki >榊先生、初めまして。今回このツイートについてお訊ねしたいことがありましたので、リプさせてもらいました。――先生は「引きネタを残した作品」が気になると仰られます。では、続けようにも続けられない一発ネタ(例:主人公死亡など)の場合はどうなのでしょうか?

2014-09-07 23:25:13
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@Violet_Magician 普通に主人公生き返らせた作家さんいらっしゃいますよw まあそれは極端としても、引きネタを残したと言うより、「とりあえず意味深に広げた風呂敷を畳んでない」のが、「えっと、畳める……よね? 大丈夫?」と不安になったりするのです。

2014-09-07 23:26:59
壱札キセキ @Violet_Magician

@ichiro_sakaki >お返事ありがとうございます! ――なるほど。つまり「シリーズものとしての続行も可能だが、応募原稿のみで伏線を全て回収しているもの」が良いということでしょうか? 例えるなら、殺人事件発生から犯人逮捕までを書いたミステリのように。

2014-09-07 23:34:26
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@Violet_Magician まあそんな感じです。例えば、これが、敵側にモリアーティ教授とか二十面相がいて、一巻では逮捕されないってのは別に良いのです。しかし、例えば一巻のトリックの全てが解決されないまま、とりあえず犯人は逮捕したぞ、終わり、みたいな話になるとちょっと、と。

2014-09-07 23:54:36
壱札キセキ @Violet_Magician

@ichiro_sakaki >それは読者としてもあまり読みたくない展開ですね。では変な表現になってしまいますが、投稿作の場合「枚数の多い短編を書く」という意識の方が良いのでしょうか? 短編の場合、時雨沢恵一先生の「キノの旅」などを見ても一つの物語で完結していることが多いので。

2014-09-08 00:05:03
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@Violet_Magician そうですね。勝手な言い分になってるのは百も承知ですが、編集部や出版者側から見て理想的なのは「枚数の多い『連作』短編を書く」だと思います。キノの旅はまさにそれですが。<連作短編

2014-09-08 00:15:03
壱札キセキ @Violet_Magician

@ichiro_sakaki >先生の仰られていることはご尤もだと思います。自分もアマチュア物書きとして注意しなければならないことですし、今回のご回答は大変勉強になりました。改めてお礼申し上げます。――なるほど、枚数の多い「連作」短編が理想なのですね。

2014-09-08 00:22:28
ナナミ @8492nnm

@ichiro_sakaki 実際そういう作品が受賞してたりもしますしね......

2014-09-07 23:26:25
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@1212__kei そうです。そしてそれが売れもするし、プロもそういうものを出しているので、投稿者を責める訳にはいかんのです。しかし、そもそも広げた風呂敷をたためるかどうかが分からない、という不安がつきまとうので、その辺がどうにも。

2014-09-07 23:33:09
我乱堂 @SagamiNoriaki

@ichiro_sakaki ちゃんと完結した話送ってくださいね、というのは90年代初期の富士見ファンタジア大賞の関係のドラゴンマガジンの記事で何か読んだ覚えがあるので、昔からある程度はいたんでしょうね…近年はそういう人たちが特に増えた、ということかもです。

2014-09-07 23:26:55
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

@SagamiNoriaki 完結の定義も色々あるとは思うのです。何というか、「それ、この設定と世界観と物語構造では本筋だよね?」と思う様な部分も閉じずに、主人公達の顔合わせのエピソード一本で終わったりすると、微妙に「うーん」と思ってしまうという。

2014-09-07 23:34:53
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