大学教授「これまで見たどの答案よりもすごいかも」オリラジ中田敦彦が教える『YouTube大学』の世界史の解説がかなり間違っている？

汚ディーン@山岳環境研究者 @gl_odean

YouTube大学は面白いのでぜひ続けて欲しい。ファクトチェック？は各個人の責任なのでまずは面白おかしくその分野を語ってもらえればok。

世界死bot/『世にも奇妙な「世界死」大全』発売中 @ToOutliveToBe

オリラジ中田さんがYoutubeで公開している「Youtube大学」の歴史系の授業について、少し考えたことを。 非常に反響の大きい企画に成長した一方で、その内容の正確性などについて批判の声がちらほら聞こえてきています。ここから少し歴史との付き合い方について考え直してみよう、というお話です

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オリラジ中田さんがYoutubeで公開している「Youtube大学」の歴史系の授業について、少し考えたことを。 非常に反響の大きい企画に成長した一方で、その内容の正確性などについて批判の声がちらほら聞こえてきています。ここから少し歴史との付き合い方について考え直してみよう、というお話です

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要旨 ・中田さんと「エクストリーム世界史（日本史）」は救世主　だからこその罪深さ ・「少しだけ間違った」歴史の何が問題で、何が問題でないのか ・歴史を学ぶことの難しさ ・歴史を伝えることの難しさ ・蛇足

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最初に言っておきますが、私は中田さんや「大学」の授業を否定するつもりはありません。 視聴している人に「これ以上見るな」というつもりもありません。 ここから歴史を学ぼうと考えている方はぜひそのまま見続けていっていただきたいと思っています。面白いもんね。

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以下の話は、中田さんの講義をアカデミックの視点から一歩引いて眺めている方を想定して書いていくつもりです。

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本題。 まず中田さんがあれだけの網羅的な歴史授業を展開しているということを知った時、「うわ、やられたなぁ」というのが私の第一印象でした。どちらかと言えば良い意味で。

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既にお笑いタレントとして抜群の知名度を誇り、歴史タレントとしてもテレビの中で地位を確立してきた中田さんが、バラエティの制約なしに学問を深く語りつくす。 これは今までの日本の歴史界隈が必要としてきた、そして存在してこなかったものを一気にカバーしてしまうプロジェクトと言えます。

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何がすごいかというと ・一般的な歴史教育からさらに一歩踏み込んだレベルの歴史を ・教養人という一般的なイメージがある有名人が ・参考文献を示しながら ・因果関係や時系列をまとめつつ ・普通の高校生にもわかるレベルでかみ砕いて ・話す ・ハイテンションな ・動画 というとこです（？）

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Youtubeの検索窓に英語で何か歴史上の有名な事件なんかを書き込んでみると、受けがよさそうな面白い歴史動画が色々出てきます（もちろん質はピンキリ）。

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一方日本語の歴史動画を調べると、文字と写真が流れるだけの動画（トンデモ説の巣窟）もしくはいかにも「歴史オタクのために歴史オタクが作った動画」という感じの動画が大半です。 私はたまに後者をサーフィンするのが好きなんですが「普通の中高生は見ないよなあ」と薄々感じてしまうんですね。

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歴史趣味というのは難しいもので、いつの間にか一般的な歴史知識の水準と乖離してきているということに気づきにくいのです。 先日某所で「サン＝バルテルミの虐殺は知名度が低い」と言われて思わず「えっ資料集に大きく画が出てるのに！？(　ﾟдﾟ)」となってしまったのですが、実際そうなんですよね。

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どのジャンルでもそうだと思いますが、いわゆる「歴オタ」と、特に歴史に興味があるわけではない「大多数の」人たちとの間には、思っている以上に大きな溝があります。「歴史的な正しさ」とか言っても反応は鈍いのが普通で、それを「教養が足りない」「意識が足りない」と殴りたくなったら危険信号です

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ところが、後者に属する人々が嫌でも「歴史」に立ち向かわなければならない時が存在します。 高校日本史と世界死、もとい、世界史です。

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高校レベルになると、小説的な理解では足りず、どこかで「歴史」の考え方を受け入れざるを得なくなります。しかしこれは元から歴史に興味がないとかなり難しいことで、しかも歴史好きに聞いても「外部の助けを借りたら乗っ取られる、当たり前でしょ？」とか前提のように言われて取り付く島がない。

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この溝を、中田さんはいとも簡単に乗り越えようとしているのです。 歴史が面白くなくても、中田さんの話は面白い。そこから入ったとしても、いつのまにか歴史を好きになれる。そんな力が、あの語りにある、というのは持ち上げすぎでしょうか。

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私が視聴したのはほんの一部ですが、原因と過程、結果を追っていくという基本は成立しているし（さすがに失礼ですね）、何よりその下地になっている知識の幅が広い（これについては後で否定的な見方もします）。

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そしてあのトークのテンポの良さ。 勝手なことを言いますが、日本の高校で行われている歴史授業の9割よりは面白いだろうし、正直高校授業よりもあれで学んだ方が成績も入試もいい結果が出る気すらします（ただし、教科書と資料集を正しく併用した場合）。

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中田さん自身も授業を作るためにものすごく勉強しているし、チャンネルを作っているスタッフの知識面でのサポートもかなり厚いものであるように思います。 歴史に限らず幅広い教養を同じスタイルで伝えられているのは、Youtubeに限らずともなかなか見られるものではありません。

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そのうえで、だからこそ、の問題が、中田さんの「大学」授業には存在します。ここまでの美点を台無しにしてしまうような。

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一言でいえばそれは「間違った内容・理解が含まれているから」ということなのですが、それはすでに指摘されているような、「歴オタ」（趣味・本業問わず）の言う「歴史的正しさ」に限った話ではないのです。 歴史を好きになりかけた人たちが、逆に「歴史を嫌いになる」罠が、そこにあります。

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前置きとして、歴史は「どこまで正しければよいのか」という問題があります。そもそも何が正しいのかを延々と考え続けていく歴史学という分野があるくらいで、絶対に覆らない歴史知識なんてものはありません。

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なので今回は、中田さんの動画を主な情報源として歴史を学ぶだろう、大学入試レベル（＋α）の知識を求めている人、特に高校生を基準に考えます。

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高校生はYoutubeとは別に、絶対の情報源「教科書」と「資料集」を持っています。高校の授業もテストも、大学入試も、ほとんどはこの2つが基礎。これらはつまらなくても避けては通れません。中田さんの授業は、その意味ではあくまでも補助的な役割になります。

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